
Your Complimentary Upgrade Status
マリオット ボンヴォイがアプリ内で「Your Complimentary Upgrade Status」という新しい画面をテストしています。表示されるのは2つの数字で、滞在に対して無料アップグレード可能な客室が何室あるかの見込みと、自分が現在何番目に並んでいるかです。画面には「BETA」の表記があり、現時点で見られる会員はごく一部に限られています。表示の有無はアカウント単位ではなく、ホテル単位で決まっている可能性が高いです。
航空会社では一般的なアップグレード待ちリストを、ホテルプログラムが利用者に見せるのは初めてのことです。この記事では、画面に表示される内容、既存のアップグレード処理やナイトリーアップグレードアワードとの関係、数字の読み方の注意点、そして実際にどう活用できるかを整理します。
画面に表示される内容
最初の報告はチタンエリート会員からで、到着2日前にモバイルチェックインを行った際に画面が表示されました。構成は3つの部分に分かれています。
- Estimated Upgrades Available(アップグレード可能見込み数):この会員の場合は0室でした。
- Your Current Position in Line(現在の順位):当初は2番目、その後3番目に下がりました。
- 通知の案内:到着前日に無料アップグレードが確定したかどうかを知らせるとあり、プッシュ通知をオンにするよう勧めています。
画面下部の注記には3つのルールが書かれています。順位は変動する可能性があること。見込み数は予約した宿泊日とベッドタイプに一致する客室のみを数えていること。ナイトリーアップグレードアワードは無料アップグレードより優先して処理され、表示される数字には含まれていないことです。
注目すべき点として、この会員は予定を固める途中で2軒のホテルに予約を持っていました。待ちリストが表示されたのはスプリングヒル・スイートの予約のみで、もう1軒のマリオットブランドのホテルでは表示されませんでした。テストがホテルごとに行われていると考えられる理由はここにあります。
順位が2番目から3番目に下がる理由
順位は固定ではなく、仕組み自体も新しいものではありません。ホテル側には以前から、到着予定客を並べたリストが届いており、各ゲストには誰を優先してアップグレードすべきかを示す内部スコアが付いています。この計算式は公開されておらず、同じステータスの会員間でどう順位を決めているかも明らかになっていません。
2025年7月には、無料アップグレードの自動処理が導入されました。到着前にシステムがアップグレードを割り当てることで、フロントスタッフの負担を減らす仕組みです。ただし、どの客室カテゴリーをアップグレード対象の在庫に入れるか、最終的に部屋をどう割り当てるかはホテルが決めています。
ホテル従業員からの報告も参考になります。自動システムが2ベッドルームスイートをゴールドエリート会員に5泊分割り当て、同日到着のプラチナやチタン会員より先になった例がありました。下位ステータスの会員のほうが高い内部スコアを持っていたという報告もあります。別の従業員によると、ナイトリーアップグレードアワードの処理後に残った対象在庫のうち、自動無料アップグレードに回るのは50%までで、残りはホテルの裁量に残されるとのことです。その従業員が勤める171室のホテルでは、該当する客室は1室だけでした。
したがって順位が下がる理由としては、スコアの高い会員が同じ日程で予約した、誰かがナイトリーアップグレードアワードを使って客室を確保した、ホテルが対象客室タイプを変更した、といった可能性が考えられます。アプリの画面からはどれが原因か分かりません。
ナイトリーアップグレードアワードとの関係
ナイトリーアップグレードアワード(NUA)はスターウッド統合後に導入された制度で、当初はスイートナイトアワードと呼ばれていました。無料アップグレードとは別の流れで処理され、優先順位は無料アップグレードより上です。
処理のスケジュールは決まっています。
- 多くのブランドでは到着5日前から確定処理が始まります。
- エディション、リッツ・カールトン、セントレジスでは到着3日前からです。
- 到着前日のホテル現地時間午後2時ごろに、未確定のリクエストはチェックが終了し、不成立となります。
NUAに使われる在庫は、予約サイトやフロントでの有料アップセルを含めて「販売できる見込みがない」とホテルが判断した客室です。ホテルが参加させる客室タイプを決め、マリオットが販売予測に基づいて放出量を決めます。そのため、ジュニアスイートが滞在期間中ずっと有料で販売されているのに、NUAが確定しないということが起こります。この2つは矛盾していません。
NUAが不成立でも、無料アップグレードの可能性が消えるわけではありません。ホテルは事前の部屋割りやチェックイン時に別の判断をすることができます。ただし新しい待ちリストの仕組みでは、NUAが先にアップグレード対象客室を消費し、残った分だけが「アップグレード可能見込み数」に反映されます。
2025年5月に変わったアップグレードの約束
待ちリストを正しく読むには、現在の特典規約を知っておく必要があります。2025年5月まで、プラチナエリート以上には「スイートを含む利用可能な最良の客室」へのアップグレードが約束されていました。現在の規約では、スイートはアップグレード候補の一つとされ、到着時に滞在全期間の空きがあることが条件ですが、「最良の客室」という約束はなくなっています。
つまり、スタンダードルームから高層階の客室に移すだけで、スイートを売れ残ったまま残しておいても、ホテルは規約に反していません。待ちリストはこの違いを区別しません。2番目に並んでいるのが高層階の客室なのか、スイートなのかは画面からは分かりません。
客室清掃の問題もあります。広い客室は清掃コストが高く、宿泊者の支払額は変わらないため、アップグレードはホテルの費用を増やします。一部のホテルでは、有料予約が入るまでスイートを清掃しない、あるいは清掃済みのスイートを「点検済み・利用可」の状態にするのを遅らせるといった運用が見られます。空室であっても、システム上は「割り当て不可」として扱えるからです。
「到着前日に確定」と実際の運用のずれ
アプリは到着前日に結果を知らせるとしています。しかし実際には、運営がしっかりしたホテルほど、前日の夜勤帯か到着当日の朝にアップグレードを処理します。その時点で初めて、当日の到着人数と空き客室が正確に把握できるからです。チェックイン時にフロントで決まるアップグレードも多くあります。
そのため、前日に「未確定」の通知が来ても、それは自動処理の回で割り当てがなかったという意味にとどまります。その後の手動処理でアップグレードされる可能性は残っています。
私自身の宿泊経験から付け加えると、ホテルの判断は本社の順位付けと必ずしも一致しません。ホテルは繰り返し訪れる常連客を優先することが多く、初めて泊まるチタン会員より下位ステータスの常連を上にすることもあります。こうした要素はアプリの順位には反映されません。
この機能をどう活用するか
情報は限られていますが、具体的に取れる行動はいくつかあります。
到着2日前にモバイルチェックインを済ませる。 待ちリストはモバイルチェックインの流れの中でのみ表示されています。予約がテスト対象でも、チェックインしなければ見られません。
マリオットアプリのプッシュ通知をオンにする。 確定の連絡はプッシュ通知で届きます。オフにしていると、自分で画面を開き直す必要があります。
ホテルのアップグレード対象客室に合ったベッドタイプで予約する。 見込み数は予約したベッドタイプに一致する客室だけを数えます。ツインで予約し、ホテルのスイートの大半がキングなら、自分に該当する数は小さくなります。ベッドタイプにこだわりがなければ、そのホテルのスイートで最も多い構成(多くはキング)で予約します。
見込み数が0でも結論と考えない。 この数字はNUA処理後、ホテルが放出した対象在庫の中で、自分の日程とベッドタイプに合う客室数です。ホテルが裁量用に残した客室や、未清掃の客室は含まれません。チェックイン時に丁寧に尋ねる価値は残っています。
スイートが目的ならNUAを使う。 NUAは無料アップグレードより先に、公開されたスケジュールで処理されます。重要な滞在では、5日前(一部ブランドは3日前)の処理開始より前にアワードを付けておき、システムが試行できる期間を最大限確保します。
順位と見込み数をセットで読む。 2番目で見込み3室なら、ある程度期待できます。2番目で見込み0室なら、前日に新たな客室が放出されるかどうかにかかっています。
今後の展開
航空会社のアップグレード待ちリストはすでに長年運用されており、その先の展開も明確です。順位が低い、あるいは空きがゼロと表示されたとき、横に有料で上位席を確定して列を飛ばす選択肢が現れます。マリオットを含むホテルグループも、エリート会員への事前有料アップグレードの販売を強化しています。「おそらく取れない」ことが目に見える待ちリストは、有料オファーを受け入れやすくする効果を持ちます。
もう一つの影響は、本社による管理の集中です。無料アップグレードが主に自動システムで処理される方向に進めば、夜勤スタッフが現場の状況を見て判断する余地は狭まります。一貫性を好む人には歓迎できる変化ですが、特定のホテルとの関係でアップグレードを得てきた人にはそうとは限りません。
現時点ではベータ段階で、見られる会員はわずかです。以前の完全に不透明な状態と比べれば情報は増えましたが、客室タイプの区別がなく、数字の背景にある在庫も見えないため、実用性は限定的です。自分のアプリにこの画面が表示されたら、一つの参考情報として受け取るのが現実的です。チェックインは済ませ、NUAは使い、フロントでは尋ねる。この基本は変わりません。



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