ホテルに宿泊する際、ホテルのポイントよりも航空会社のマイルを優先して貯めたいと考える方は少なくありません。
IHG One Rewards(IHG ワンリワーズ)では、宿泊時にポイントの代わりにマイルを獲得したり、貯まったポイントを後からマイルに交換したりすることが可能です。
しかし、単純に設定を変更すれば常に得をするというわけではありません。提携している航空会社によってマイルの計算方法が異なり、宿泊料金やご自身の会員ステータスによって「どちらがお得か」の正解が明確に変わります。
この記事では、 IHG のホテルを利用して効率よくマイルを獲得するための具体的なルールと、損をしないための具体的な損益分岐点について詳しく解説します。
宿泊で直接マイルを貯めるための基本設定
IHG のホテルに宿泊してマイルを獲得する手順は非常にシンプルです。 IHG の公式ウェブサイトまたは IHG 公式アプリからアカウントにログインし、設定を変更するだけで完了します。
具体的には、アカウントの「設定」から「ポイント/マイル加算の設定」へ進み、獲得方法を「ポイント」から「航空会社のマイレージ/パートナーポイント」に変更します。その後、希望する航空会社のマイレージプログラムを選択し、会員番号と氏名を入力して保存します。
ここで一つ注意すべき点があります。マイルの獲得を選択している期間中は、 IHG の宿泊ポイントは一切付与されません。「今回の宿泊はポイントのほうが有利だ」と判断した場合は、チェックインの前に必ず設定を「ポイント」に戻しておく必要があります。
マイルの積算ルール:固定型と変動型の違い
IHG と提携している航空会社のマイル積算ルールは、大きく分けて「 1 滞在あたりの固定マイル」と「宿泊料金に応じた変動マイル」の 2 種類が存在します。ご自身が貯めたいマイルがどちらに属するかを把握することが、戦略の第一歩となります。
1 滞在あたりで固定マイルが貯まる航空会社
宿泊日数や支払い金額に関わらず、 1 回の滞在(チェックインからチェックアウトまで)につき決められたマイル数が付与される仕組みです。安い宿泊料金の際に強みを発揮します。
- JAL(日本航空): 1 滞在につき 500 マイル
- アジア・マイル(キャセイパシフィック航空など): 1 滞在につき 500 マイル
- エバー航空(Infinity MileageLands): 1 滞在につき 500 マイル
- ヴァージン・アトランティック航空: 1 滞在につき 300 マイル など
支払い金額に応じてマイルが貯まる航空会社
宿泊料金などの支払い金額(US ドル換算)に対して、規定の倍率でマイルが付与される仕組みです。
- ANA(全日空): 1US ドルにつき 3 マイル
- ユナイテッド航空: 1US ドルにつき 2 マイル
- シンガポール航空: 1US ドルにつき 2 マイル
- アメリカン航空: 1US ドルにつき 2 マイル など
ポイントとマイル、どちらがお得か?(損益分岐点の具体例)
マイルを直接貯める設定にすべきか、それとも IHG ポイントを貯めるべきかは、宿泊料金と会員ステータスに基づいた明確な判断基準があります。
固定型(JAL やアジア・マイル)の場合の損益分岐点
1 滞在で固定の 500 マイルがもらえる場合、宿泊料金が安い IHG ホテルでの 1 泊滞在で非常に有利になります。
例えば、アジア・マイルの価値を「 1 マイル=約 1.1 米セント」、 IHG ポイントの価値を「 1 ポイント=約 0.5 米セント」と仮定します。この場合、 500 マイル(5.5 米ドル相当)は、 1,100 IHG ポイントと同等の価値になります。
つまり、宿泊で得られる IHG ポイントが 1,100 ポイントを下回る場合は、直接マイルをもらった方がお得ということになります。会員ステータス別の「マイルを選んだ方がお得になる宿泊料金の上限」は以下の通りです。
- 平会員(1US ドル=10 ポイント): 宿泊料金が 110 US ドル以下 の場合
- シルバーエリート(1US ドル=12 ポイント): 宿泊料金が 92 US ドル以下 の場合
- ゴールドエリート(1US ドル=14 ポイント): 宿泊料金が 79 US ドル以下 の場合
- プラチナエリート(1US ドル=16 ポイント): 宿泊料金が 69 US ドル以下 の場合
- ダイヤモンドエリート(1US ドル=20 ポイント): 宿泊料金が 55 US ドル以下 の場合
上記金額を超える宿泊であれば、ポイントを貯める設定に戻した方が実質的な価値は高くなります。
変動型(ANA など)の場合:エリート会員は「ポイント」が有利
支払い金額に応じてマイルが貯まる航空会社の場合、エリートステータスをお持ちの方は「直接マイルを貯める」設定にするのは損になります。
なぜなら、直接マイルを貯める設定にすると、エリート会員のボーナスが適用されないからです。 IHG ポイントを貯めて、後からマイルに交換(10,000 ポイント=2,000 マイル、つまり 5 対 1)した方が、最終的なマイル数が多くなる現象が起きます。
例えば、 1US ドルで 2 マイル貯まるユナイテッド航空などの場合:
- 平会員:直接マイルなら 2 マイル。ポイント経由でも 10 ポイント÷5=2 マイル(同等)
- ゴールド会員:直接マイルなら 2 マイル。ポイント経由なら 14 ポイント÷5=2.8 マイル
- ダイヤモンド会員:直接マイルなら 2 マイル。ポイント経由なら 20 ポイント÷5=4 マイル
1US ドルで 3 マイル貯まる ANA の場合でも、プラチナ(16 ポイント÷5=3.2 マイル)やダイヤモンド(20 ポイント÷5=4 マイル)であれば、直接 ANA マイルをもらうより、ポイントを貯めて後から交換した方が多くのマイルを獲得できます。
貯まった IHG ポイントをマイルに交換する際の手順と注意点
上記の通り、エリート会員の変動型マイル狙いや、特典航空券発券のために少しだけマイルが足りない場合など、 IHG ポイントをマイルに交換する場面が出てきます。
交換レートは原則として「 10,000 IHG ポイント = 2,000 マイル」です。
現在、 IHG のウェブサイトやアプリ上には、自分でポイントをマイルに直接交換する機能は用意されていません。交換を希望する場合は、 IHG のカスタマーケアセンターへ電話で手続きを依頼する必要があります。(日本国内からの場合は日本の窓口へお問い合わせください)。
また、もう一つの重要な注意点として、手続きを行ってから実際に航空会社のマイレージ口座にマイルが反映されるまで、最大で約 6 週間かかることがあります。旅行の直前に「明日マイルを使いたい」という緊急の用途には間に合わないため、マイルを利用する計画がある場合は、 1 ヶ月半以上の余裕を持って手続きを行うようにしてください。
まとめ:状況に応じた設定の使い分けを
IHG ホテルでの宿泊でマイルを効率よく活用するための戦略をまとめると、以下のようになります。
- 固定型(JAL やアジア・マイルなど)を貯めたい方: ご自身のステータスの「損益分岐点(例:ゴールドなら 79 US ドル)」を確認し、それより安い短期滞在の時だけ「マイル獲得」に設定する。
- 変動型(ANA やユナイテッドなど)を貯めたい方: エリート会員は常に「ポイント獲得」に設定し、まとまった段階でポイントからマイルへ交換する方が獲得マイル数が増える。
次回の宿泊予約をする際は、予定しているホテルの宿泊料金とご自身の会員ステータスを確認し、アカウントのマイル獲得設定が最適な状態になっているかぜひチェックしてみてください。



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